クロレラやミドリムシ(ユーグレナ)、コッコミクサなどの藻類はサプリメントなどとして人や動物の栄養源として食べられることが知られています。[1]東京農業大学「食と農」の博物館 展示案内 No.75 特別展「微細藻類の輝かしき未来」 健康・環境・エネルギー源としての可能性に迫る
一方、マリモを食べる・食べられるという話は聞きません。もちろん、マリモは特別天然記念物であり、食べることは許されませんが、その指定以前の時代にもマリモを食べていたという記録はないように思われます。
食べられる藻と食べられない藻の違いは何でしょうか?
目次
培養のしやすさ
クロレラやコッコミクサは、数µm(マイクロメートル)ほどのとても小さな単細胞の藻類です。単細胞の微細藻類は、培養槽で大量生産して乾燥・粉砕して食品に加工できます。
しかし、マリモは単細胞の粒ではなく、細長い糸状の藻体が枝分かれして数ミリの長さになっています。採取して乾燥させても得られる藻体は少なく、成長速度も遅いので栽培に長い時間がかかり食料としては非常に非効率です。
味や食感の悪さ
マリモは火を通しても美味しくないと言われています。
古くから阿寒湖周辺に住んでいたアイヌの人々も、マリモが食用にならないことを知っており、あまり関心を持っていなかったことが記されています。
釧路地方の郷土史家、佐藤直太朗は、…『久摺日誌』(1861年刊)に同じくマリモに関する記述がないことを指摘して、次のように述べています。
…
「マリモを採りたいから舟を頼む」と言うと、「食えもしないあったらものを、シャモ(和人)のニシッパ(旦那)は、なんだってそんなにほしがるんだ?」と笑われたものであった。このようにマリモに、今では、6、7種の名称や解釈があるといことは、反って、昔のアイヌはマリモに無関心で、定まった名称などもなかった証拠でなかろうか。
若菜勇 マリモ大全
(※引用中の…は中略)
他の藻類も直接食べると美味しくないとは思いますが、サプリメントに加工されている場合が多いので気にされることはないのでしょう。
食用の藻類は加工によって細胞壁が砕かれて消化しやすい形になりますが、マリモは加工方法などが確立していない(そもそも研究されていない)のでそのまま食べるしかありません。
普通に食べても細胞壁によって消化されにくいため、栄養はあまり期待できないと考えられます。
まとめ
マリモを食用にするには、その利点よりも手間や労力の方が勝るため、わざわざ食べ物にする必要はないと言えるでしょう。
現在マリモは天然記念物であるため、仮に栄養満点だったとしても食用にされる心配はないと思われます。
自然界でも、はっきりとマリモを食べる生き物は今のところ外来種のウチダザリガニしか知られていません。
動物にもマリモは食べにくい生き物だと思われているのかもしれません。


※ コメントの反映には時間がかかる場合があります。