マリモで学ぶ生物学(4)『植物は光合成だけで生きられる?』


前回、マリモを含む植物は光合成によってエネルギー源を生み出していることを書きました。

マリモで学ぶ生物学(3)『光合成とは?』

では、光合成さえしていればマリモなどの植物は生き続けることができるのでしょうか?

光合成だけで身体の全てを作ることはできない

光合成は成長に必要な有機物(糖)を作る主要な仕組みではありますが、成長に必要な物質(元素)の全てを生み出す仕組みではありません

水と二酸化炭素を使った光合成によって得られる元素は『炭素』『水素』『酸素』だけです。

これらを使ってデンプンなど糖や脂質の一部を作ることはできますが、新しい細胞を作るには他の元素も必要になります。

つまり、マリモを含む植物の長期的な成長には、光合成では得られない物質の供給が必要となります。

マリモの成長に必要な元素

例えば、マリモが新しい細胞を作るには以下の要素とそれを構成する元素が必要です。

  • タンパク質(窒素・硫黄)
  • DNAとRNA(窒素・リン)
  • ATP(リン)
  • クロロフィル(マグネシウム)
  • 酵素(鉄・マンガン)
  • 細胞膜、細胞壁、情報伝達物質(カルシウム)

実際に窒素やリン、マグネシウム、カルシウム、鉄などのミネラルが成長に必要であり、不足によってマリモが死んでしまうことが報告されています。

マリモの成長に必要な栄養素一覧

マリモの成長を建築に例えるなら、作業をするエネルギーが光、主な建材は水と二酸化炭素、そして上記の元素は部品や工具に当たります。

作業員や材料が十分でも、道具がなければ建物(細胞)を増やすことはできないのです。

水道水では不十分?

マリモが住む阿寒湖など、自然の湖沼には必要な成分が含まれているのでマリモは大きく育ちます。

では、お土産として売られている観賞用のマリモは、これらの成分を水道水だけで十分に得ることができるのでしょうか?

水道水に含まれる成分を調べてみると、どの物質も完全に0というわけではないようですが、一部の物質は不足する可能性があることがわかります。[1]ミネラルウォーター類|水質に関するトピック|東京都水道局

具体的には『リン』『窒素』『』『マンガン』は水道水にはほぼ含まれていない(または除去されている)ため、不足する場合があると考えられます。

特に問題になりやすいのがリンと窒素で、蛇口から出る時点で水の中にはほとんど含まれないとされます。

家庭の飼育環境で植物に必要な元素を与えるために、植物用の肥料やマリモの栄養剤などがあります。

これらの水道水では不足しがちな成分を補う効果があります。

まとめ

植物に必要な物質は光合成だけでは補えず、周囲の環境からのミネラル供給が必要です。

マリモの場合は、定期的な水換えや栄養剤の使用がオススメです。


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