マリモは国の特別天然記念物に指定されているため、湖から持ち出すことも販売することも禁じられています。
しかし、丸いマリモの瓶詰めは北海道観光のお土産として定着しています。では、お土産として売られているマリモはどこから来たのでしょうか?
湖の仲間をとっちゃダメだもよ?
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実は阿寒湖のマリモじゃないも
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目次
阿寒湖のお土産マリモの出処
阿寒湖温泉街の土産店で売られているマリモは、実際に阿寒湖で育ったマリモではなく、阿寒湖以外の場所から採取された藻体を養殖して増やし、それを人工的に丸めたものです。
北海道の湖沼の一部(シラルトロ湖など)は、養殖マリモの原料として藻を採取することが許可されていました。
1970年代に、釧路湿原のシラルトロ湖の浮遊型マリモを球状に加工する技術が開発され、人工マリモが作られるようになりました。ミキサーなどでちぎってバラバラにしたマリモの糸状体を緩く丸め、培養液中で回転させることによって作られます。
観光地などで「養殖マリモ」の名で販売されているものは元々シラルトロ湖で採取されたものを養殖して増殖させ、それを集めて人工的に丸めたものです。
北海道を旅行すると、土産物店の店頭にマリモがたくさん並べられている。阿寒湖のマリモとは決して書いていないが、種類としては阿寒湖のマリモと同じものであり、シオグサ属植物である。これら市販のマリモは人工的に培養したもので、マット状に成長したものを集めて丸めたものである。……
水槽を直射日光の当たらない明るい場所を選んで設置し、水を入れ、循環器で空気を送ってやる。そこに市販のマリモを入れておくと、球形のマリモから細い糸状の枝がのびてくる。中には水槽の壁について壁にそって薄いマット状に成長を始めるもののある。球形に保つにはマット状に広がったものを集めて手の平の間でコロコロと丸めてやればよい。
東邦大学 東京湾海藻日誌
人工的に藻を丸めたマリモができた目的は、阿寒湖からのマリモ盗採の防止であったと言われています。
残念なことに、現在は阿寒湖以外のマリモも減少傾向にあることから養殖用マリモの藻を採取するのが難しい状況であるとされます。かつて採取が許可されていたシラルトロ湖のマリモを取ることも禁止されました。
現在はマリモの養殖に成功した一部の企業がお土産のマリモを育てて販売しているようです。
富士五湖で「フジマリモ」と称して土産物屋で販売されるのもこの人工的なマリモです。
販売されているものの中には「天然マリモ」と名付けられているものもありますが、阿寒湖のマリモという意味ではありません。
これらの「天然マリモ」の多くはロシアやウクライナなどから輸入したマリモです。
お店によってはどこから来た天然マリモなのか書かれている場合があります。
本物と人工の見分け方
お土産の養殖マリモも生物種としては阿寒湖で育ったマリモと同じものです。つまり、種としてはお土産として売られているマリモも本物ということになります。
(以下で言う「本物」は「阿寒湖で自然に育ったマリモ」という意味です)
本物のマリモは中心から全方位に向かって藻が伸びていますが、人の手で丸めたマリモは中心から放射状に配列する糸状体がなく不規則に絡み合った糸状体でできています。
自然のマリモでも、このような不規則な藻の絡まりによってできるものもありますが、放射状に藻が伸びるものに比べて大きくなりにくいと言われています。
大きな球状マリモが阿寒湖から盗採されたものか偽物かどうかは解剖するとすぐにわかります。
球状マリモの種類についての詳しい情報は以下のページを御覧ください。
お土産のマリモを育てる方法
マリモの育て方については以下のページを御覧ください。
ピンバック: お土産のマリモ(人工マリモ)の育て方 - マリモの広場
ピンバック: 海外のマリモは日本のマリモと何が違う? - マリモの広場
はじめまして、こんにちは!
最近こちらのページを見て、参考させて貰っています。自分も近年マリモを購入→興味を持って育て始めました(未だ未だ分からない事ばかりです)
確かに仰るとおりで、北海道で買った瓶入りマリモ(←自分が最初に買ったのはこれ)は完璧と言って良いほどの球型で、藻も細かく見えますよね。それに対し西洋マリモの方は大概毛足が長い藻で歪な球すが、この西洋マリモの方もどうやらカーペット状に広がった(?)藻を何層も重ねて1球に仕上げているようです(少なくとも自分が買ったモノはその痕跡がハッキリでした)。まぁ半年〜1年ほどすれば藻が互いに絡まり合って1つの球体に落ち着くので、問題が無いと言えばないんですけどね。
ではでは!またお邪魔します。
人口毬藻は生きているのですか?
「本物のマリモを人の手で丸めた」という意味で「人工」という言葉が使われることがあります。
この場合、丸めている藻は本物(養殖されたもの)ですので生きています!
プラスチックの繊維で作られた偽物もありますので、そういった意味での人工のものは生きてはいないです。