国立科学博物館より、日本新産種(海外では知られていたが日本では未確認だった種)であるマリモが発見されたと発表がありました。
このマリモは「モトスマリモ」と名付けられました。一体、どんなマリモなのでしょうか?
目次
水槽の中から発見されたマリモ!?
このマリモは、なんと一般家庭の水槽から発見されたそうです。
山梨県甲府市の民家の水槽でマリモが発生したという連絡があり、調べてみるとこのモトスマリモであることが分かったのです。2024年3月にも、国内で2例目となる発見が神奈川県の民家で報告されています。
モトスマリモは、阿寒湖のマリモや山中湖のタテヤママリモとは別の種であることが確認されました。
今まで国内で知られていたマリモはエガグロピラ・リンナエ(Aegagropila linnaei)、タテヤママリモはアエガグロピロプシス・モラビカ(Aegagropilopsis moravica)でしたが、このモトスマリモはアエガグロピロプシス・クラブリゲラ(Aegagropilopsis clavuligera)という別種なのです。
見た目は普通のマリモやタテヤママリモと同じであるため、今まで混同されてきた可能性が指摘されています。
湖の中では球形になっていないと考えられており、専門家以外がいわゆる普通のマリモとモトスマリモを判別することはほとんど不可能とされます。また、専門家であっても顕微鏡で形態を調べるだけでは確実に分類することは難しく遺伝子解析が必要です。
2024年3月に国立科学博物館がモトスマリモの情報を発表したところ、全国から報告が寄せられ、東京や大阪、大分など8つの都府県でも存在が確認されました。
モトスマリモは丸くなりやすい?
阿寒湖のお土産のマリモを育てたことのある方はわかると思いますが、マリモを流れのない水槽で飼育すると、糸状体が伸びて球体が崩れてきます。
しかし、このモトスマリモは特別なことをせずに水槽で長期間飼育しても球形が維持されることが報告されています。そしてタテヤママリモよりも安定して密な球体を作るそうです。
さらに、通常のマリモではほとんど観察例がない遊走子(マリモの胞子)も見つかりました。モトスマリモは活発に数を増やすのかもしれません。
モトスは「本栖」が由来
この新種マリモが水槽に来る前の生育地は、山梨県富士五湖のひとつである「本栖湖」であることが示唆されています。
本栖湖産の二枚貝をタイリクバラタナゴの産卵用に水槽に入れていたそうです。マリモはこの貝に付着して水槽にやってきたと推測されています。
したがって、本栖毬藻ということでモトスマリモと命名されました。
モトスマリモがヨーロッパや中国で見つかっているマリモ類と遺伝子配列が一致しているということですが、現時点では海外からもたらされたのか本栖湖に元々生息していたのかは不明ということです。
現在、国立科学博物館が生態解明に向けて潜水調査を行っています。
モトスマリモも採取は厳禁
天然記念物であるマリモを湖から取ってくることは禁止されています。山梨県のマリモも例外ではありません。
このモトスマリモは今回、偶然にも貝や石に付着していたため法的な責任を問われることはないとされますが、今後はモトスマリモやマリモを目的として二枚貝を採集することは法律違反となる恐れがありますので注意が必要です。
おしまい
タテヤママリモは民家に作られた池から偶然見つかりましたが、モトスマリモも完全な人工環境である水槽から2回も見つかったことに驚きます!
モトスマリモは人為的な環境下で増えやすいと考えられているそうです。
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