阿寒湖に住んでいる球状マリモの数は何個?

1997年に阿寒湖に住むマリモの数についての大規模な調査が行われました。

その結果、マリモの群生地であるチュウルイ湾およびキネタンペ湾に生息する球状マリモの総数は全部で約六億であることが報告されています。

しかし、これは直径1cm未満の小型のマリモを含めた場合の個数です。

同調査では、直径15cmより大きなマリモの総数は約20万個であったとされています。そのうち、25cmを超える特に巨大なマリモの数は約三千個であると報告されています。

当然ですが、マリモは大型になるほど数が少なく、キネタンペ湾では20cmを超える球状マリモは見つからなかったとされます。キネタンペ湾には球状マリモ以外のマリモが多く、総重量ではチュウルイ湾のマリモの量より多いそうです。

大きな球状マリモは増えている?

1997年の調査では、直径15cmを超えるチュウルイ湾の大型球状マリモは約105,000個とされています。

その後、2019年の調査に行われたチュウルイ湾の調査では、同じ大きさのマリモの数は前回調査から6,000個増えた111,000個だったと報告されています。

チュウルイ湾に暮らすマリモの総重量と総個体数の変化
釧路市阿寒町行政センター通信No.108 昨年8月実施マリモ個体数調査の結果がでました

小中の球状マリモの数は減っていますが、大型のものは増えているように見えます。

とは言え、この数値的結果から球状マリモが増加していると直ちに結論付けられるわけではないと、マリモ研究に携わる若菜勇氏は述べています。

マリモの採取に通常用いる円筒形の枠は面積が50cm×50cm、もしくは25cm×25cmに相当し、これで周辺20m×20mの範囲のマリモ集団を代表させるので、当然、誤差が出ます。この調査を数十か所で行うので、調査区にもよりますが、たいていは数割の誤差を含む予測値が導かれます(ベルトトランセクト調査の結果を基にして推計を行いますが、詳細は省きます)。
……
さて、先の6,000個は全体の5%に相当します。私は今回の調査データを持ち合わせていないので、数値を示して断言することはできませんが、上述したように誤差範囲の方がはるかに大きいので、この範囲内に含まれると見て差し支えないと思います。従って、今回の結果から増えたか減ったかを判断することはできません。

阿寒湖のマリモは増えたのか?|マリモ博士の研究日記

海外に住む球状マリモの個数は?

外国で大型球状マリモの住む湖としてアイスランドのミーヴァトン湖が知られています。

1999年から2004年の五年間に渡る調査結果、ミーヴァトン湖の球状マリモの個数は阿寒湖のマリモより非常に多いことが報告されました。しかし、その藻の密度は低く、大きさは阿寒湖のマリモに及ばない(最大12cm)とされます。

残念ながら、現在は環境変化の影響により数が激減し、球状マリモはほとんど見られなくなったと報告されています。

ミーヴァトン湖のマリモが壊滅的打撃を受けた原因は工場排水とされ、2014年に確認されたマリモの数はたったの2個という情報もあります。

アイスランドにあるミーヴァトン湖は、かつて阿寒湖と並んで有名な球状マリモの生育地でした。しかし、湖底からの資源採取などに伴う環境の変化によって2006年頃から急激に減少し、2014年には消失しました。このように、マリモは決して環境の変化に強い生き物ではなく、非常に繊細なものなのです。
「大量打ち上げ」から考えるマリモの秘密 – 文化庁広報誌 ぶんかる

参考

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