アイスランドのマリモは本当に絶滅してしまったのか?

丸くなる球状マリモの生息地としてアイスランドのミーヴァトン湖は有名でした。大きなマリモでは直径14cmにまで成長していたことが報告されています。

珍しい白いマリモが発見されたのも、このミーヴァトン湖でした。

ミーヴァトン湖に現れた白いマリモについて

しかし、残念なことに数年前からミーヴァトン湖で大きくなる丸いマリモは絶滅してしまったと言われています。

マリモが絶滅した時期は2013〜2016年と考えられています。

なぜ阿寒湖のマリモが貴重かというと、マリモが大きな球状になり、かつ群生する湖沼は阿寒湖以外に存在しないからです。
世界ではほかにアイスランドのミーヴァトン湖で球状マリモが群生していましたが、2016年に球状マリモの絶滅を確認。
それ以降は世界で唯一、阿寒湖だけが球状マリモの群生する湖沼となってしまいました。
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「人為的な影響を受けて生育地の環境が変化してしまえば、マリモは生育できなくなってしまう」という吉井の言を証するかのように、ミーヴァトン湖の球状マリモは富栄養化が引き金となって2014年までに消失した。
今や、阿寒湖の球状マリモ群生地は世界で最後に残された存在となった。その保護は人類に課せられた責務と言っても過言ではないのである。
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海外の科学雑誌でも、ミーヴァトン湖のマリモが急に姿を消してしまったことが記述されています。

Healthy, full-grown lake balls haven’t been seen here since 2013.
……
“All of a sudden they were gone,” says Árni Einarsson, director of the Mývatn Research Station, who has been monitoring the balls for nearly four decades. Surface blooms had made the water unusually turbid for a number of years, so a diver went down to check on the colonies. “He could only find some dead or decayed. They were not healthy at all.”

[日本語訳]
元気に成熟したマリモは2013年から見られなくなりました。……
「突然マリモたちはいなくなりました」と、約40年間マリモを観察してきたミーヴァトン研究ステーションの所長である Árni Einarsson は言います。
「水の華(藻類ブルーム)」が数年にわたり水を著しく濁らせたため、ダイバーが群生地をチェックするために潜りました。「彼は死骸と腐敗したマリモしか見つけられませんでした。全く健康なものではありません」

One of the World’s Most Unusual Plants Is Disappearing

どうやら球状マリモがいなくなってしまったことは事実のようです。

幸いなことに、完全にマリモが死滅してしまったわけではないと報告されています。

2016年の初夏には、小さな小石サイズのマリモが岸に打ち上げられているのが発見されました。そして、2017年には小さなマリモの数は増加傾向にあることが確認されています。

しかしながら楽観視できる状況でないことに変わりありません。

環境がマリモにとって生活しやすい状態にならなければ、マリモという種自体が湖から完全に消えてしまう恐れがあります。

大きいマリモが絶滅してしまった原因

なぜミーヴァトン湖の球状マリモは突然姿を消してしまったのでしょうか?

上記のナショナル・ジオグラフィックの記事によれば、湖に増殖したシアノバクテリアや藍藻が水を不透明にして光を遮ったため、湖底のマリモが十分に光合成ができなくなったためとされています。

そして、これらの生物が増殖した根本の原因は湖水の汚染と富栄養化、つまりヒトの活動にあると考えられています。不十分な下水浄化処理によって湖水が有機汚染され、いわゆる「水の華」現象が起こったと考えられています。

今もまん丸なマリモが住む阿寒湖でも、環境が変化してしまわないよう細心の注意が必要と言えるでしょう。

阿寒湖でも、富栄養化による水の華によって陽が遮られるとマリモが球状を維持できなくなることが確認されています。

参考

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