秋田県「にかほ市」の鳥海山の北西山麓にある獅子ヶ鼻湿原の湧き水の周辺や川底には、もこもこと密生する藻の集合体が成長します。
球状に成長することもあるこの藻の集合体は、その姿がマリモに似ていることから「鳥海マリモ」と呼ばれます。鳥海マリモはハンデルソロイゴケとヒラウロコゴケが絡み合ったものとされます。
鳥海マリモは湖のマリモ(毬藻)と同じように、特殊な環境条件が揃った場所でなければ育たないことが知られています。
世界でも珍しいコケの宝庫「鳥海マリモ」は、湧き水の周辺や川底に球状・クッション状に密生しており、50年~100年の歳月をかけて生育すると言われています。
「鳥海マリモ」を構成しているヒラウロコゴケは、日本では八ヶ岳と獅子ヶ鼻湿原の2カ所、世界的にみても、スペイン・イタリア・トルコなどの地中海沿岸でしか生息していない学術的にも極めて貴重なものとされています。
「鳥海マリモ」が生育できる条件として、鳥海山系のブナ原生林から流れる多量の流水と、水温が湧水のため7℃と非常に低く、年間を通してほとんど変化がなく、しかも強酸性(phは4~5前後)という水の特性が、世界でも珍しいコケの生育を可能にしています。
東北森林管理局/獅子ヶ鼻湿原の神秘
成長に適した水は、マリモの場合よりも低温で強酸性であるそうです。
マリモは低温には強いですが、酸性の水は苦手です。