マリモは光を浴びて光合成によって成長しますが、マリモの育て方の説明には直射日光を避ける方が良いと書かれています。
マリモはどの程度の強さの光が好きなのでしょうか?
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マリモは弱い光でも大丈夫?
結論から言えば、曇りの日の太陽光でもマリモにとっては光合成が十分にできる強さです。
専門的になりますが、マリモが光合成によって酸素の泡を発生させる光の強さは光量子束密度(photon flux density : PFD)で 20μmol・m-2・s-1 とされます。
光量子束密度は聞き慣れない言葉かも知れませんが、これは1平方メートル(1m2)辺りの面積に1秒(1s)間で注がれる光の粒子(光子)の量を表す単位です。単位は μmol・m-2・s-1 や μmol/m2/s などと表記されます。
と言っても、その 20μmol・m-2・s-1 がどれほどの光の強さかを具体的にイメージするのは難しいですね。
具体例を挙げるなら、蛍光灯の下に降り注ぐ光の強さが 10μmol・m-2・s-1 と言われてます。
真夏の直射日光は、その約200倍(2000μmol・m-2・s-1)、曇りの場合でも5〜20倍程度(50~200μmol・m-2・s-1)とされます。
したがって、晴れていなくともマリモの光合成が十分起こる光が降り注いでいることになります。
若菜勇氏の研究によれば、マリモ糸状体の光合成は 20~100μmol・m-2・s-1 で起こると記載があります。
球状マリモの場合、内層の藻には光が届きにくくなります。そのため、直径が大きいマリモほど強い光が必要と考えられています。
強すぎる光はマリモに毒
前述の通り、マリモの成長には直射日光ほど強い光は必要ありません。むしろ強い光は毒になりえます。
マリモだけでなく植物の細胞全般に言えることですが、強すぎる光は光合成を行うための器官である葉緑体を破壊する要因となります。
強い光のある環境の方が、より光合成を行うことができ植物にとって好ましい環境であると思われがちです。
ところが、多くの場合地表に届く光は光合成装置の容量を超えており、直射日光にさらされた植物は危険にさらされています。
自然科学研究機構 基礎生物学研究所 神戸大学 植物が強すぎる光エネルギーを逃がす新たな仕組みが見つかる
マリモは熱に弱いため、小さな容器で飼育している場合は水温が上昇して枯れる原因にもなります。マイルドな光を浴びるように調節してあげましょう。
ちなみに、葉緑体のクロロフィルは青い光(波長400〜500nm)と赤い光(波長600〜700nm)を主に吸収します。
通常の電灯の白い光にはこれらの色が含まれているので、特にこれらの色の電灯を用意しなくても問題ありません。
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