マリモの住む湖で、藍藻(アオコ)などの植物プランクトンが大量に発生した場合、水面で日光が遮られてマリモが光合成できなくなってしまいます。
植物プランクトンが水域の色が変わってしまうほど爆発的に増殖する現象は「水の華」または「藻類ブルーム」と呼ばれ、その原因は湖の「富栄養化」によるものとされます。
これらの言葉の意味を詳しく解説します。
目次
富栄養化って?
植物の成長に必要な栄養塩類(窒素やリン、ケイ素などの無機塩類)が湖などの水域に流入し、植物プランクトンが多くなる現象です。
富栄養化自体は自然に起こることもあるのですが、問題となるのはヒトの活動の影響で急激に起こる富栄養化です。
ヒトの生活や工業・農業などの生産活動によって排出される処理水によって水域に流入する栄養塩類が植物プランクトンを異常増殖させます。
これによって後述する「水の華」や「赤潮」が起こります。また、アオコの増殖により酸素が消費され、水中の生物が呼吸できなくなってしまうこと(貧酸素化)もあります。
富栄養化
元来は湖沼等の閉鎖水域が、長年による流域からの栄養塩類の流入により、生物生産の高い富栄養湖に移り変わっていく自然現象のことですが、人口や産業の集中などにより、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域でも起こっています。水域が富栄養化すると、植物プランクトンなどの藻類が異常増殖するため、赤潮や、貧酸素化等の水質問題が発生します。
環境省 里海ネット 用語の解説
逆に栄養塩類が少なくなってしまう現象は貧栄養化と呼ばれ、こちらも海藻類が育たなくなるなどの問題の原因となります。
水の華って?
富栄養化によって植物プランクトン(主にアオコ)が爆発的に増加すると、水の色が藍色に変わることがあります。この現象を「水の華」と呼びます。
単に「アオコ」や「藻類ブルーム」などと呼ばれることもあります。
ブルーム (Bloom)とは「開花」という意味で、プランクトン藻類が大量に発生し、花が咲いたように赤や藍色に色づいた状態を比喩しています。また、このような水の着色現象は「水の華」(water bloom)とも呼ばれます。
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「有害有毒藻類ブルーム」も「水の華」も、英語表現を翻訳したもので、分かりにくいため、一般的にニュースなどで使われることは少なく、研究者もハブ(HABs)などと呼ぶことが多いです。日本ではむしろ、その色に注目し、「赤潮」「アオコ(青粉)」「青水」などと個別に呼んでいます。
国立科学博物館 有害有毒藻類ブルーム
赤潮って?
富栄養化が海で起こると植物プランクトンの異常増殖によって海水が赤く変色することがあり、これを赤潮と呼びます。海で起こる「水の華」と言えるでしょう。前述の通り、海水以外で起こる水の華のことも赤潮と呼んで区別しないこともあります。
植物プランクトンの種類によっては無害なこともあるとされますが、魚のエラを破壊したり海水中の酸素を奪ってしまったりといった問題の原因となることが多いようです。