水草や植物プランクトンがマリモの邪魔をする?

チュウルイ湾やキネタンペ湾では、水草マツモセンニンモ)がマリモの生育場所を奪っていることが明らかとなっています。

マリモの分布面積が減少する一方で、水草の分布面積が著しく増加していることが確認されています。

水草が大量に繁殖することで水流を妨げ、マリモの回転を妨害して球状化するのを邪魔しているとされます。また、糸状体マリモの生活場所を奪っているとも言われています。

チュウルイ湾では1995〜1997年に球状マリモの他に多くの浮遊型マリモが存在していましたが、2011年には水草が浮遊型マリモの生息域を奪った上、球状マリモの分布面積も30%減少したと報告されています。

特に直径が5cm未満の小型マリモの減少が顕著でしたが、その大部分は、水深が3m以上の深い場所に暮らす、丸くならない糸状のマリモでした。
糸状マリモが減った大きな要因は10年ほど前から阿寒湖で始まった水草の異常繁殖です。
深い場所では、マリモのクラス場所が水草に置き換わったり、さらに深い場所に流されていったりしてしまいました。
釧路市阿寒町行政センター通信 2020年4月号 No.108 あかん

水草が増加した原因として、意外にも水質の改善が指摘されています。湖が透明で綺麗な水になるにつれ、日光が差し込みやすくなり、水草が育ちやすくなったと考えられています。

現在、マリモの保護活動の一環として、水草の除去が行われています。

また、水質の改善と湖水の富栄養化によって植物プランクトンが異常に増殖する現象「水の華」(淡水赤潮)が起こり、マリモ群生地で球状体の数を減少させているとされます。

球体のマリモが重なって複数の層を形成して群生することは、水草の繁殖を防ぐのに有効であるとされます。

「ただ丸いだけだと、水草の方が背丈が高いですから、必ず先に光を奪われてしまいます。ところが阿寒湖の群生地というのは、マリモが3層にも4層にも重なり合って暮らしているので、水草が入ってこられないんですね。要は、丸いということは一個一個のマリモにとっては、一見すると効率的でないように見えるけれども、光がたくさん降り注ぐ浅瀬で、集団を作って競争相手である水草に対抗していくためには、非常に有利な形と言っていいのではないかな、と思っています」
THE FLINTSTONE (bayfm 78.0MHz) :世界でただひとりの「マリモ」の博士!〜若菜 勇さんに聞く“マリモが丸くなるわけ!?”

参考

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