阿寒湖だけじゃないマリモの生息地

丸いマリモの住処といえば阿寒湖が思い浮かびますが、丸くならないマリモ(同じ種の糸状体)なら阿寒湖以外の世界各地に生息しています。

マリモは北半球の高緯度地方に分布し、日本を中心とする東アジアとバルト海周辺の北ヨーロッパが主要な生育地です。

国内のマリモの生息地

北海道の阿寒湖が有名ですが、それ以外の日本全国の湖や沼の17箇所に分布していることが確認されています。

北海道では塘路湖、シラルトロ湖、カムイト沼などの生息地が知られています。シラルトロ湖は多くのお土産マリモの出身地となりました。

本州にもマリモは複数の湖や沼に生育しています。例えば、富士五湖の1つである山中湖や琵琶湖でもマリモが発見されています。青森県では左京沼や小川原湖があります。

小川原湖では湖底岩盤上に着生型マリモが確認され、さらに直径2〜3cmの球状マリモも見つかっています。

マリモが確認されている最南端は琵琶湖です。

阿寒湖のマリモ群生地についてはこちら。

マリモの住処である阿寒湖の特徴

世界でマリモの生息地は減少している?

残念ながら、球状化するマリモの生息地は世界的に減っています。

こぶし大以上の球状マリモの生育が確認されているのは、国内の阿寒湖、アイスランドのミーヴァトン湖、エストニアのオイツ湖です。その中でもマリモが群生しているのは阿寒湖とミーヴァトン湖だけです。

まりもが球化する湖としては、アイスランドのミーヴァトン湖とエストニアのオイツ湖などが挙げられますが、ミーヴァトン湖は数年前にほぼ絶滅、オイツ湖も小さなまりもがまばらにいるくらいです。ちなみに日本では河口湖とか琵琶湖にもまりもは生育していますが、球状のまりもが群生している湖は世界でも阿寒湖だけです。
22年前の調査では推定で6億5000万個という結果が出ています。そのうち阿寒湖を特徴づける大きな球状のまりも(15cm以上)は10万個程度。数としては、大きいものほど少ない傾向にあります。
世界でここだけ!阿寒湖に丸いまりもが6億5000万個もいるのはなぜ?学芸員に聞いてみた | 和樂web 日本文化の入り口マガジン

ミーヴァトン湖の面積は阿寒湖の約三倍ですが、深さは阿寒湖の十分の一(4m程度)です。

アイスランドではミーヴァトン湖以外の湖でもマリモの存在が確認されていますが、直径10cm以上の球状となりえるのはミーヴァトン湖のみです。

国内の阿寒湖でも50年前にはマリモの群生地が四箇所存在していましたが、今では阿寒湖北部のチュウルイ湾とキネタンペ湾の二箇所になってしまいました。

大型球状化するマリモが生息するのは北海道の阿寒湖が世界で最後となっています。

残りの生息地でも、近年は水草がマリモの生育場所を奪っていることが知られています。

湖が富栄養化(水中の窒素あるいはリンの量が増加)するとプランクトンが増加し、マリモに届く日光を遮ってしまうためにマリモの成長に悪影響を与えているという報告もあります。

阿寒湖のマリモが減ったのはヒトのせい?

天然記念物に指定される前は、マリモは誰でも取ることができ、商品として販売されていました。また、発電や阿寒湖を観光地として開発する際の作業によって、マリモが被害を受けてしまったと言われています。

マリモが天然記念物として指定される1921年(大正10)以前から、それらは東京に送られ販売されており、さらに阿寒湖にそそぐシリコマベツ川上流における伐木と流送のためこの川上流では1941年にマリモは死滅していた(黒木1976:80−81)のである。また、1950年春に湖面の水位低下によりマリモが露出し大きな被害があったことが報告され、その原因を北海道大学の舘脇操氏は木材流送、盗採、遊覧客、釣舟によるタモ入れ等による破損という要因に加え、1949、1950年度の水位許可、すなわち戦後の電力事情のため、湖水面低下が許可されたことをあげている。
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20世紀初頭から集水域における森林伐採や阿寒湖の水資源を利用した電源開発が始まると、間をおかずしてシュリコマベツと大崎の群生地が流入した土砂によって埋没したり、あるいは湖水面の低下によって干上がったりするなどして消滅し、北部のチュウルイおよびキネタンペを残すだけとなった(図2-1)。このため、マリモが絶滅してしまうのではないかとの懸念が早くから持たれ、マリモの保護を最終目標とした様々な調査研究が進められた。
阿寒湖における球状マリモの分布域
マリモ保護管理計画

現在、阿寒湖で球状マリモが確認されているのは、北部のチュウルイ湾とキネタンペ湾の二箇所のみとされます。西部のシュリコマベツ湾では、1920年頃から始まった流域での森林伐採の影響によってマリモが消失してしまったと言われています。当時、川の流れを使って丸太を運搬する「鉄砲流し」と呼ばれる手法により、土砂や木片が一気に湾に入り込み、次第にマリモが埋まってしまったそうです。

毎年100万人以上もの観光客が訪れ、それにともなう温泉街の発展や土木作業によって、いくつかのマリモの群体が減少や消失をしてしまいました。最近では湖畔の温泉街に下水道を整備したり、地元にマリモの保存会が組織されるなどして、町ぐるみでマリモの保全をしています。
環境省 いきものログ マリモ

また、ヒトが持ち込んだ外来種であるウチダザリガニによるマリモの捕食も深刻です。

しかし、2018年にシュリコマベツ湾で46年ぶりに天然の球状マリモが確認されたと報告されました。

球状マリモの生育環境が修復されつつあるのかも知れません。

参考

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