マリモが大きくなるにはどれだけの時間がかかる?

マリモは大きなもので30cmほどにもなりますが、これほど大きくなるにはどれだけの時間がかかるのでしょうか?

正確に測定した情報はありませんが、5〜7年の周期で20cm以上のマリモが大量に出現することが知られていますので、かつて言われいた「野球ボールの大きさになるのに100年かかる」というのは誤解であることがわかり始めています。

マリモの成長速度は大きさによって変わる

研究が進んだ現在では、阿寒湖であればバスケットボールの大きさに育つのに10年も掛からない場合があることが報告されているそうです。

最近の研究では、大きな球状マリモであれば1年間で9〜12.6mmほど成長すること確認され、球になり始める5cmから30cmまで成長するには約20〜28年を要すると推測されています。

直径5cmのマリモが10cmに成長するためには約6.6年、直径15cmのマリモが20cmに成長するためには約4.6年が必要と計算できます。直径5cmのマリモが20cmに成長するためには14.2年から18.5年程度の期間が必要であるなど、これまでに不確かであったマリモの年齢を詳細に評価することが可能となりました。
マリモが痩せている? 〜巨大マリモの理想的な水温環境を解明〜 | Research at Kobe

大きいボールだも!
まりこちゃんの元の姿バスケットボールのイラスト

ある程度大きなマリモがより大きくなるにはあまり時間がかからないようです。MRI解析の結果、マリモは直径が大きくなるほど藻の層が厚くなり成長速度も速くなることが報告されています。大きくなれば更に大きくなりやすい、ということですね。

若菜勇氏によれば、直径10cmのマリモが直径30cmになるために必要な時間は5年であるということです。

若菜さんは1997年かチュウルイ湾の70〜100メートル沖、水深およそ1.2メートルのところに観測地点をもうけ、成長を観察することにしました。この地域は水草にかこまれているので、ほかの場所からマリモが入ってこないからです。
「97年には最大の大きさで直径およそ9センチのマリモしかいなかった。でも、2002年にはもう25〜34センチ級のマリモが観察できるようになった。もっともはやく成長したマリモは、5年で25センチも大きくなったと考えられるんだよ」
理論社 マリモを守る。若菜勇さんの研究 千葉望・文 荒谷良一・写真

当然、マリモの成長速度は環境の影響を受けます。球状マリモは水深が1.5mより浅く、光の条件が良い環境であれば、年間2~4cm成長するとされます。

水温もマリモの成長速度に大きな影響を与えます。水温が高くなると、マリモの藻の層がやせ細ってしまうことが報告されています。地球温暖化によって、阿寒湖のマリモが過去に比べて薄くなっている可能性が指摘されています。

1988年の水温データを用いて推定した当時の巨大マリモの厚さは4.7cm程度と試算されました。一方、近年の巨大マリモの厚さは3.7cm程度と試算され、約35年間でマリモの厚さが平均で1cm程度減少している可能性が示されました。…
マリモの厚さは形状を保つ上で重要な骨組みであると考えられるため、今後、温暖化などにより阿寒湖の水温が更に上昇すれば、巨大マリモの厚さが更に薄くなって壊れやすくなる恐れがあります。
マリモが痩せている? 〜巨大マリモの理想的な水温環境を解明〜 | Research at Kobe

残念ながら、マリモを湖から持ってきて水槽などに入れると育つスピードはかなり遅くなるようです。このため、以前はマリモの成長速度は非常に遅いと誤解されていました。

阿寒湖の水質や転がることのできる環境がマリモにとって理想的なのかもしれません。

参考

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