マリモは種として二種類が存在します。
阿寒湖に代表される湖のマリモ(Aegagropila linnaei)とは別に、河川に生息するタテヤママリモ(Aegagropilopsis moravica)が知られています。
マリモと同じシオグサ目で、アオミソウ科タテヤママリモ属に分類されます。
タテヤママリモ(立山毬藻)は富山県下新川郡立山町の民家の池から発見されました。国内の約8箇所に生息していることが確認されています。
富山県立山町の民家の池でマリモが確認されたのは昭和62年のこと。なんでも池の水を湧き水から引くようになってから、緑色の丸い藻が生えるようになり、専門家に相談したところマリモであることがわかったそうだ。
「タテヤママリモ」と名づけられたこのマリモ。平成9年に行われたDNA鑑定で、阿寒湖などの「マリモ」とは違う種であることが判明。誰かが持ち込んだものでなく町内のどこかで人知れず自生していたものが地下水を通じて表れたと考えられるようになった。
No.074-2:日本にしか いないかも「タテヤママリモ」 | 富山の“今”を伝える情報サイト|Toyama Just Now
目次
タテヤママリモの特徴
阿寒湖のマリモと比べると手触りは粗く、形も扁平であるとされます。
マリモよりも強い光を好みますが、塩分耐性は持たないようです。阿寒湖のマリモは適度な塩分であれば成長が促進されることが知られていますが、タテヤママリモは塩分は苦手だそうです。
また、タテヤママリモは阿寒湖のマリモよりも暗い環境に弱いとされます。
タテヤママリモの遺伝子を調べると、マリモと明らかに違う点(細胞の形状・遺伝子の塩基配列)が確認されたことから別種と認定されました。
立山町のマリモ類など日本の9産地のマリモ類(タテヤママリモ)は、マリモとITS領域の長さが約300bp異なるなど遺伝的に大きく異なっていた。加えて、マリモとタテヤママリモは生理的な違いが存在することも知られており、これら2分類群は明らかに別種である。
金沢大学大学院自然科学研究科 羽生田岳昭 マリモの分子系統学的研究:その起源、分類、生物地理
水中を浮遊する「浮遊糸状体」と、用水路の底面や壁面に着生する「着生糸状体」の二種類が確認されてます。
マリモの親戚は他にもある?
もう一つ、マリモの親戚があります。マリモに最も近縁である種としてタテヤママリモの他にアオミソウがあり、これらはマリモと同じように多年生で、しばしば球状になることが知られています。
ちなみに、かつてはマリモの変種と考えられていたフジマリモやヒメマリモ、トロマリモはDNA分析から阿寒湖のマリモと同種であることが確認されています。
タテヤママリモの生息地
タテヤママリモは国内の各地で生息が確認されています。
- 立山町
- 栃木県佐野市
- 兵庫県上郡町
- 福岡市
- 琵琶湖北岸
- 北海道稚内市付近(オホーツク海沿岸の湖沼)
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